いなぎ駅前クリニック

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院長コラム

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COLUMN今こそ麻疹の抗体検査をいたしましょう。

先般、沖縄で麻疹の流行の終息宣言がでました。めでたしめでたしです。しかし2回目なんですよね、沖縄の終息宣言。つまり、繰り返し流行があるということを知っておいたほうが良さそうデス。なにせ小児の麻疹は昔は「命定めの病」と言われていたくらいの大病でした。同じ部屋にいるだけで感染しますし、しかも特効薬は現代においてもありません!

世界トップの医療水準を誇っていたにもかかわらず、10年ほど前までは日本は麻疹の輸出国で世界中にニッポンの麻疹ウイルスをばらまいていました。感染しているが潜伏期間中というまったく無症状のニッポン人が海外で発症して旅行先で流行を作ったり、日本への海外旅行者が日本で感染して自国にお持ち帰ったりと、医療先進国とは言えない状況でした。そこでワクチンを接種しまくって、国内発の麻疹が3年以上発生していない状況になり、2015年3月27日から麻疹の「排除状態」となりました。

にもかかわらず麻疹が流行ってしまうのは、ド~シテか?

まず、今日においての麻疹は輸入されているモノであるということ。流行地から潜伏期間状態での人の日本への旅行あるいは日本への帰国が発端。そして日本国内で発症、ウイルス散布(麻疹は発症する2日前からウイルスの排泄あり!つまりいわゆる“潜伏期間中の人への空港での窓際作戦という対策“は無効ということ)…そして日本国内での流行。2年後にはオリンピックがある…いや待てよ、来年はラグビーのワールドカップがあります…ということは麻疹のインバウンドが起こりうるワケです。

ワクチン1

さて、次にワクチンへの過信。例えばインフルエンザの予防注射2回しているにもかかわらず、ワンシーズン中にA型B型両方に罹ってしまう、すなわち2回打ちしても免疫がつかなかったという御仁は珍しくありません。小児の定期接種で3種混合(以前は3混でした)をきっちりチックンされているのに、8歳時には百日咳の抗体なしとなっていたお子さんもいる。私の友人には、B型肝炎ワクチンを何回接種しても「抗体ができない!患者さんを診れな~い!」と嘆く肝臓専門医もいます。

ワクチンの効果は①長期にわたって十分な免疫がつく②中途半端に免疫がつく③免疫ができても年々減っていく④全くできない、のいずれか。①を期待して痛い思いをしてワクチンしても、実際は③とか④でしたなんてトホホのこともあるわけでござる。

流行りだしたからワクチン接種を、というやり方に文句は言わない。しか~し、今回の流行でもあっという間にワクチン不足に陥り、最優先の小児の定期接種分以外は供給ストップ。問い合わせの電話は殺到。日本中麻疹ワクチン難民だらけとなりました。
余談ですが、そんな状況であるのに厚労省は2回接種を勧め続けた。2回接種は確かに感染予防に有効であるが、その”ワクチンどこにもないんだよっという現場の状況を全く理解していない“と言わざるを得ないこの推奨は、たとえば災害時の避難所の炊き出しをみんなで分かち合いましょうというのではなく、「早いもの勝ちで~す。食べられなかったら次回の炊き出しまで待っててね」って言っているのと同じ。立腹もんですわ!

ということで、今のうちに対策しておきましょう! 麻疹はインバウンドで再三流行するはず。その時に、ワクチン接種が本当に必要な人に接種できるように不要なワクチン接種は控えるべきと思いませんか? 不要な接種とは”十分な免疫を持っているにもかかわらず接種をする“こと。私は御幼少期に麻疹に罹っています。命を定めてもらって終生免疫をいただいた。よって、予防接種の最優先順位に相当する医療従事者であるがチックンはしていません。

ではアナタ自身が“十分な免疫を持っている”かどうかをどうやって知るか?

腹痛3

血液…抗体検査です。自費ですが…。

ついでに風疹抗体もおススメします。妊娠中の風疹感染は出生児の先天性風疹症候群を引き起こす原因になります。男性であっても妊活中なら調べておくべし。風疹ウイルス以外にも風疹と同様の発疹が出る場合がありますので、観察のみで「風疹です」と診断される場合があり、罹っていたつもりが実は罹っていなかったなんてことがあります。

あ、そうそう、抗体検査の数字上の評価ですが、EIA法を用いた場合、麻疹は16.0以上が、風疹は8.0以上が「十分な免疫あり」と評価されますデス。免疫が足りなくてワクチン接種しても先に言ったように、ワクチンでの免疫の付き方には個人差があるから定期的に抗体検査しておいたほうが良いかもしれませんな。