いなぎ駅前クリニック

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院長コラム

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COLUMN熱中症対策と健康維持のためにお肌をペロリとなめて、そして「暑くはない」と感じる設定でエアコンを使いましょう

COLUMN熱中症対策と健康維持のためにお肌をペロリとなめて、そして「暑くはない」と感じる設定でエアコンを使いましょう

熱中症に気を付けましょうと毎年騒ぎ、今年は「冷房を適度に」とメディアは言っております。まず、「適度に」ってどの程度?って思いませんか? また、「冷房が予防です」と指導されているワケで、以前から指導されている数字を合体させて27℃に設定している方が多いと思います。冷房モードで27℃設定って寒すぎだと思いませんか? 患者さんとお話しすると「寒い!寒いけど熱中症が怖いからそうしている」と言われる。

熱中症予防のキーワードの一つに“湿度”があります。これに注目しているメディア、サイトはありませんので今回はこれがテーマ。長文になってしまいますが最後までお読みください。

さて、先ず熱中症の予防の基本は、

  • ①体温の維持(体温を上げない)
  • ②水分の維持
  • ③ナトリウム(塩分)を中心とした電解質の維持、の順です。

熱中症を単に夏の脱水症としか認識していないメディアが「予防は水分」と毎年繰り返していたために悲劇が起こっていると思います。その辺りは私の医療コラムにクドクドと書いてありますのでお時間のある時にお読みくださいませ(Webマガジンcode-G no.9no.10)。確かに②の水分の維持のために水分補給は必要ですが、補給した水分が有効活用されていなかったらどうします? 水分を有効活用する道具がクーラーとか冷房とか言われている“エアコン”なのです。

“エアコン”とはエアーコンディショナー、つまり熱交換器による空気調整機のことです。温める、冷やす、の他に“除湿”で空気を調節することができます。

真偽の程はともかくですが、冷却しないと体温は70℃まで上昇すると言われています。人体はその機能が最適に行える至適体温があり、人体はそれを維持しようとする機能があります。例えば冬場に「寒ぅっ!」と身が固くなるのは、筋肉を収縮させて熱を発生させ体温を上げようとする反応です。一方、夏場は体を冷やさなければなりません。

水分補給

そのための体の反応が “発汗” です。皮膚から分泌された汗(水分)が蒸発するときの“気化熱”が体の熱を奪い体温を下げてくれるのです。すなわち、汗が乾く状況・環境が体温調節に最も大事であるということで、かいた汗が蒸発しなければ熱は下がらないということです。かいた汗が蒸発しなければ飲んだ水分は脱水補正にしか使われておらず、実は体温の保持には使われていないのです。

さて、水分の蒸発のために必要な条件の一つに”乾燥環境=低湿度“があります。サウナは高温ですが湿度100%ですのでタオルは乾燥しません。多湿になればなるほど蒸発しにくいということです。日本の真夏そのものです。一方、冬は寒いのに外干しでも乾きます。乾燥環境で蒸発しやすいから乾くのです。先に蒸発しなければ熱は下がらないと言いましたが、ならば蒸発させやすくするためには湿度を下げればよいのです。

エアコンをオンで走っている車は水がしたたり落ちています。熱交換器内の”結露“で水がしたたり落ちる、すなわち空気の水分が排水されているのです…水分が取り除かれる…つまり、エアコンをオンにするだけで何もドライモードにしなくとも除湿効果があるということです。乾燥環境は汗を蒸発させやすくし、気化熱が発生させて熱中症予防に最も必要な体温降下作用を提供してくれるのです。

しかしエアコン嫌いの御仁は多くいらっしゃる。寒くなりすぎで体が冷えるから体に悪いという理由が多いようです。メディアはエアコンの温度設定を「27℃位で」とかの数字で指示しました。しかし、エアコンの個体差、部屋の大きさなどの環境、そして最も大きな“気温の感じ方”という個人差の要素などで、27℃設定では寒いと感じる場合も多く、「予防に27℃位と言っている。寒くても頑張る。…そして体調不良。やはりエアコンは体に良くない」と夏場のエアコンは敵とみなされています。「冷房を使え」なんて冷やせって言っているのと同じでもっての外ではありませんか!

先に車で例えましたが、エアコンがオンになっていればそれなりに除湿され気化熱が発生しやすくなっているのですから、設定温度の数字に惑わされずに、アナタ自身が「暑い部屋」と感じない温度設定がベストなエアコンの使い方だと思いますが皆さんいかがでしょうか? 「何度に設定」をというおススメは極めてナンセンスだと思いませんか? こういう啓蒙をCMもしないから「効きすぎて寒いから使いたくない」となって屋内熱中症に陥ってしまうのです。

さて、ここまで汗を気化させることが最も大事とお話ししましたが、屋外はどうするか? 長時間の外出を控えるかエアコン環境に移動するしかありません。「木陰で休憩を」は直射熱、輻射熱からは逃れられますが所詮屋外であり、気化熱が発生しにくい多湿環境ですので安全な場所ではありません。「木陰で休憩を」を鵜呑みにして、外出しても木陰があるからいざとなったらソコに、という思いで行動しないでください(熱中症で亡くなったかたの1/4が野球をしていたという衝撃的データがあります。もはや根性論は殺人行為です)。

はい、そして、汗として出て行ってしまった水分を「こまめに摂りましょう」の②に到達なのです。加えて一緒に出てしまった塩分を「適度に塩分補給を」なのです。しかし、適度に塩分をの「適度」ってどのくらい?と思いませんか? だって、医者はコトあるたびに「塩分控えなさい」と連呼するし…。やみくもに塩分摂ったら怒られる?どーしたらいいんでしょ?

お肌をペロリと舐めてみてはいかがでしょうか? しょっぱかったら汗と共に塩分が出ています。補給するには…屋内生活が中心ならば、テレビでは梅干し2個‥でしたっけ? 逆にしょっぱくなかったらあえて積極的に塩分を摂る必要はありませんよね。いつも通りに減塩を続けてで健康維持を!